TAKAMARUのメモブログ

このブログは、主に「dis」というものや「ニセ科学批判批判」というものについてメモしています。

不思議な話『ビッグマウス的なビッグフッド・トラップ』

 「ビッグマウス的なビッグフッド・トラップ」とは、あの「ビッグフッド・トラップ」の近くに設置されていた罠である。現在は、撤去されている。

 【概要】
 ある研究者のところに、「変わったビッグフッドを目撃した」と述べる人物が電話を掛けてきた。
 「昨晩の俺は、森の中を歩いていたんだ」
 「すると、大層なことを述べるビッグフッドに遭遇したんだ」
 「そのビッグフッドは、次のように主張していたんだ」

 『……主流の科学者達の誰よりも、私は高い科学リテラシーを持っている』
 『たとえば、ダーウィンの進化論が間違っていることなど、私はすぐに見抜いてしまった』
 『しかし、主流の科学者たちは私の話を一つも理解しなかった』
 『ゆえに、私こそが地球上で一番に科学の肝を心得ている賢者だと結論できるのだ……』

 「いや、たしかに昨晩の俺は酒を飲んでいたけれど、酔ってはいなかったんだ」
 「だから、俺の目撃談は事実なんだ。信じてくれるかい?」

 研究者は、その話を信じた。さっそく研究者は森に赴いて、「ビッグマウス的なビッグフッド・トラップ」を設置しようとした。

 すると、謎の生物が現れた。研究者は驚いた。「おや、もう出てきたのか? まだ、罠の設置が完了していないのに?」
 しかし、どうも様子が変だった。

 その謎の生物は、次のように主張したのだ。
 「私は、『ビッグマウス的なビッグフッド』ではない。私は、『ニセ科学批判批判的なビッグフッド』である」

 それを聞いた研究者は、「証拠を見せてほしい」と頼んだ。
 謎の生物は頷いて、ニセ科学批判批判的な話を語り始めた。
 「その昔、あのウェゲナーが大陸移動説を提唱するも、大半の学者は冷たい反応だった。根拠となる原動力を、ウェゲナーは説明できなかったからだ」

 「しかしながら、ごく僅かなウェゲナーの理解者たちは関心を持ち続けた」
 「その後、科学技術の発展があり、数々の証拠が見つかり、ついには正しい説だと認められるに至った」

 謎の生物は、語りを続けた。
 「このウェゲナーの話は、『新奇な説を唱える者は確かな根拠など提示しなくても良い』という例である」
 「新奇な説に関心を持った周囲の人達が根拠を探求し、やがて普遍的な説にまで昇華させたという例である」
 「これぞまさに、科学のダイナミックな歴史の一場面と言えよう」
 「ところがである」
 「あの忌々しいニセ科学批判者たちは、あろうことか、『新奇な説を唱える者が確かな根拠を提示するべき』などと主張しているのだ」

 「このような、立証責任を他人に転嫁する主張を鵜呑みにすることは危険であり、おおいに異論を投げ返すべきである」
 「というわけで、貴公もニセ科学批判者たちと議論する際には、『ニセ科学を批判してはいけない。どうしても批判するならば、自分で実験して確かめてから批判するべきだ』と言ってあげたまえ」

 聞き終えた研究者は、失望しながら言った。
 「なるほど、確かに『ニセ科学批判批判的なビッグフッド』のようだ。私の目的とする、『ビッグマウス的なビッグフッド』ではない」

 研究者は、謎の生物に言った。
 「森に帰りなさい。私は、『ビッグマウス的なビッグフッド』の研究で忙しい」

 研究者の素っ気ない態度を見た謎の生物は、「うむ……。私のニセ科学批判批判に関心を示さないことは、貴公の自由である」
 「しかしながら、その際には私も別の処置方法を行う用意がある」
 「たとえば、貴公の言論に対するdisのコメントを数年にわたってネット上で披露したりする」
 「よって、今のうちに賛同の意を表しておくべきだと貴公に勧めておく……」
 と言い残して消え去ったという。